| 温泉 |
| 木の匂いがする脱衣所から白木の引き戸を開けると視界が一度ホワイトアウトする。 顔にまとわりつく蒸気に呼吸が重くなる。 『駄目じゃん楡山、不破の前で屁なんかしたら。』 『・・え?』 黒い石畳だけが足の裏を冷やす。 『美点、あんまり苛めるなって』 眼下の渓流。注ぎ込む湯の口。どちらも絶え間ないセセラギを沸き立たせて垂れ流す。 『冗談だって。硫黄泉だから。』 『熱っ。』 湯殿は牛乳でも注ぎ込んだのかと思う程白い。 『・・・、・・・効能が沢山。』 『少し酸っぱいですね。』 『はっ?!お前飲んだの?!』 『・・飲用湯って、書いてあるので・・』 『・・・、効きそう。』 『美味いの?』 『美味くは・・。』 湯船に浸かると白い湯気が迫り来る。 風呂底の石がスベスベと心地よい。 『うそ、マジかよ』 『なになに。どうしたの早瀬』 『ここ混浴・・』 『・・・、・・・。』 背凭れになる、大きくてなだらかな石を縁取りに。 『がーっ!なんとかしろ早瀬!(小声)』 『静かに静かに。。』 『あのコ色白いですね・・・。』 『・・、・・・ほんとに。(含み笑い)』 男四人で固まる 夏の露天風呂。 |
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