| 遠距離恋愛3 |
| 大学ってこんなとこかよ… 思ってた以上に大変。 何に1番苦労するかって? そりゃもちろん講義の登録。 今日も第一希望を2回もはじかれた…負けるな、原幌平。 んなときにグチりたい。 周りの友だちらはイイヤツだけど、一緒にいるのはやっぱどっか気疲れしてしまう。 ここに潔がいたらなぁー… …やべ、一回考えるとしばらく離れない。 声、聞きたいなぁー……… 「…そりゃそうだよな。」 テレカ片手に公衆電話の前。 何も学校からかけることねーじゃん。 何も向こうも学校だろ、って時間にかけることねーじゃん。 特に用事があるわけじゃねーじゃん。 …ただ、声が聞きたいだけじゃん。 3回目、取る予定だった講義にはじかれて、次の講義までの空き時間。 気付けば足はフラフラと公衆電話に向かってた。 数えるほどしかかけたことないのに、スラスラ出てくる携帯番号。 でもやっぱり 『ただいま、電話に出ることができません。…』 あーあ。 ほら、またかけた後で後悔してる。 ケータイ、かぁー…持ったらもちっと繋がるのかなぁー… 「あい、お帰り。自練は?珍しいね、こんなに早く帰ってくるの…」 親が話し掛けてくるのも適当な相槌で済ませて、さっさと部屋にあがる。 こんな日は早く寝るに限るだろ。 まだ荷物が散乱してる部屋でゴロゴロしてると突然。 「へー!あんたに電話だけどー!マシロって人からー!」 「ああ?!マジ?!今行くっ!!……っあが!!」 突然の呼び出しに答えて勢いよく、まるでコントのように階段から転げ落ちた。 そしてどうにか電話にたどり着く。 「あんた彼女から電話が来たわけでもないのに…」 あきれてる親から、受話器を奪うように受け取って開口一番 「もしもし?潔?幌平だけど!すげぇ!僕も電話したいって思ってたんだぜ?以心伝心っつの、こういうの?」 嬉しさのあまり、受話器に向かって息もつかずしゃべった。 そしたらしばらくの無言。 心配になって声かけようとしたとき、受話器から必死にこらえたような笑いと懐かしい声が聞こえてきた。 『ほろへ、アホー!んなに慌てなくてもいーのに!こけたのかー?丸聞こえだったし!』 あいかわらず元気そーな声が受話器から聞こえる。 一瞬、胸がつまった。 『それになー、携帯に着歴残ってたし!"公衆電話"から!ほろへーしかいないと思って。電話しただろ?』 まだ必死に笑いこらえてる潔の一言。 でもその一言で、ぶつけたベンケイの痛みも、溜まってた疲れも一気に吹き飛んだ。 …そっか。"公衆電話"、だけで分かってくれたんだ。 それからお互いの近況なんか語り合って、あっという間に一時間経ってた。 「んじゃそろそろ、か…明日も早いんだろ?携帯代も払わせてわり。今度はこっからも電話するからさ」 名残惜しいのはヤマヤマだけどいつまでも、ってわけにはいかない。 そう切り出したあと、潔の声のトーンも少し下がった気がしたのは、思い上がりだろうな、やっぱ。 受話器を置いて一息つくと、にやにやしながらついつぶやいてしまった。 「公衆電話、でバレる、かぁ。…やっぱもーしばらく携帯いらないかも。」 |
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