| 遠距離恋愛 |
| 気づいたら「トクベツ」になってた。 いつもふざけて頭叩いてくれるほろへの笑顔。 始めたばかりの一人暮らし。ただでさえ淋しいのにだちはみんな遠くへ。 最後にあいつに会ってからどんぐらいたったんだろ? また整理しきってない荷物をほじくり返しながら、もう何度目かの溜息をつく。 計算なんかしたくなかった。 だってまだ高校を卒業して一ヶ月も経ってないから。 「はぁー…あいてぇ…」 段ボールからほじくり出して、広げた本や雑誌の真ん中に胡座を組む。 目尻に滲んだ涙を擦りながら、机の上に飾ってある1つのボタンに視線を向ける。丁寧にリボンかけをしてあるソレは、使い込んだ金色のボタン。 「…ほろへ…」 結局見送りにも行けなくて、まともにお別れもできなかった。 思いがけずあいつが送ってくれた手紙に、約束の金ボタンが一緒に入ってた。 それを見ると元気が出る気がする、いつのまにかお守り変わりにさえなっていたりする。 オレが幌平にあったんはいつだったかな?まだ一年で。緊張しまくってた時、最初っから気軽に話しかけてくれた気がする。 それからずっと、どんな時もかわんねーで笑ってくれる。 誰かとつき合った時も、失恋した時も落ちこんだ時も。 あいつの顔見るとほっとした。 いつの間にか「オレのトクベツ」になってて。目があいつを追ってたりして… 誰とでも仲いいあいつ。オレん前ではあほなコトばっかやってたりすんのに、他の奴の前では大人っぽかったりする。…そゆ時なんかむかついたりすんだよな。だってオレだけのほろへじゃねぇから…。 なんだか胸が苦しくなってベットにダイブして枕に顔を埋める。 机には書きかけの手紙。 「ほろへのあほー…携帯ぐらい持てよ…」 今時携帯電話持たない主義のアイツに恨み言を言いながら。 この距離が悔しくて、今すぐに会いたくて、声が聞きたいのに。 『…頑張れ…』 一瞬、頭を撫でられた気がして埋もれた枕から顔を上げる。 あいつの人懐っこい、いつもの笑顔が目に浮かんだ。 …ほろへ、オレ頑張ってんぞ? 窓から見える空を見ながら、眩しげに目を細めて遠く続く空の下で笑ってるだろう幌平を、今日も思う。 |
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