ラブ&ポップ
「俺、すっげぇ好きなんだよ。ほんとに」

飲み会の帰り道。
駅のホームのベンチに並んで座ってる春香に言った。

「ハイハイ。わかってるよ」

春香は俺の顔も見ずに返事する。

「俺、春香のこと大好き!愛してる!!」

「五十風の次にだろ?いや…八乙女がいて、中薗がいて、晃司がいて、俺はその次くらいか」

ちょっと酔っ払って、いつもよりほんのちょっとだけ口数が増えてる春香が笑う。
その顔は全然信じてない。
俺の言うことなんか。

「ちがうってば!ほんとに春香のこと好きなんだよ!!」

「ハイハイ」

五十風も八乙女も中薗も晃司も、みんな好き。
だって友達だし、大事だし、俺のことわかってくれるし。
だけど。

春香が立ち上がって、飲み干したオレンジの缶ジュースをゴミ箱に放る。

「ほら、電車来るぞ。早く立て」

ぐいっと腕を引っ張られる。


「ほんとに好きなんだよ」

今度は春香は眉根を寄せた。
困ったような、怒ったような、呆れたような。
(お前いい加減にしろよ、って顔だ)

「わかったから」

わかってないくせに。
全然わかってなんかないくせに。

だから俺はもう春香には言わないことにした。



「好き」って想いは言わなきゃ伝わらないなんて、誰が云った?
いくら言っても伝わらない想いは、どうしたらいいんだろう。

どうして「好き」って言葉はひとつしかないんだろう?


「ほんとにほんとに好きなのに」

藍川さんの小説の小野塚sideです。

…うん、小野塚ってこんなカンジ?
ウザイわな、そりゃ。
いおり 

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