彼女的主張

「ねーぇ、そー思うっしょ!?」
「ぇ?…ぁー、そーかもねー」
「……ってかさーぁ、絶っ対! マジに! 聞いてナィし!!」
「………」


瞬間、なんかヤな予感してカラダ屈めた上空に飛んでったクッション。壁にあたって撃沈。ハンガーにかかってたYシャツが巻き添え食って揺れて。
ソレの行方見送ってから振り返れば、ムスくれたカオが正面に鎮座してる。

…そうは言われても。
いきなりノックもそこそこ、ヒトの部屋入ってくるなりベッドの上に陣取って一人で捲し立てられちゃあ、さ。
しかもこっちは明日の小テストでなけなしの点数稼ぎ目論んで少しはやっとこうかとしてたワケで。珍しく。そっちこそお構いナシじゃんか。言っても無駄だろーケド。

諦めて椅子ごと回転させて向き直ったら、少しは機嫌なおしたらしくて。でも眉間に刻まれっぱなしのシワに指先あてたら睨まれた。


話を要約すれば単純なコトで。
学校に行く途中、いきなり誰とも知らない相手に告られた…と。
カオも知らなければ当然名前も知らない、唯一分かるのは制服来てたから学生なんだろうってコトくらい。
ぶっちゃけよくあるパターンと言えばそうなんだけど。彼女にしてみればソレが癇に障ったらしい。


「だぁってさーぁ、いきなし何の前振りなく『好きなんです』ってどーよ? わっけわかんないじゃん」
「…ってもさ、どっかで会ったの明が忘れてただけなんじゃなくって?」
「違くって、一瞬そうも思ったけど。今初めて見たとか言ってっしー。なのにスキって何。見ただけで何そーゆーの言えるワケぇ? その場で分かってんのなんかカオだけじゃんよ」


話を聞いてれば、こっちは適当に相槌打ってるだけでもイィらしく。
勝手に言い分ぶちまけながら時々ベッドに投げ出した足ばたつかせたり、人の枕殴ってみたり。
ぽんぽん次から次によく続くな…とか感心しつつ。話半分に聞き流して、自分は机に片肘ついたまんま手持ち無沙汰にシャーペン回してみたり。

…と、なんか急に静かになったと思ってカオ上げたら。目の前に彼女のアップ。至近距離。

………さすがにビビった。カラダ反らしたら上から覗き込むみたく寄ってきて。
あ、珍しくノーメイク。…っても、そんな普段から濃い方じゃないけど。化粧品のニオイがキライだとか何だとか。確かに自分もスキじゃあナィ。その辺は似てるのかもしれない。


「…ってかさぁ、きーちゃんにはナィわけ?」
「……は?」
「こーゆーの」
「………ナイよ」
「何でよ、おんなじじゃんカオ」


思いっきり不平そうなカンジでヒトのカオ両手で挟んで持ち上げてきて。
伸ばしっぱなしの爪が掠めてちょい痛い。でも逆らってまた機嫌損ねられても面倒だから放っておく。
大人しくしてればどうせすぐに飽きるんだし。それは昔からよくわかりきってる。

しばらくにらめっこヨロシク向き合って。まばたき繰り返してた目元が急に細まった途端に、離れた手が八つ当たりめいて髪を掻き雑ぜる。

ぐちゃぐちゃにされたのを適当に直してる間に、むこうは気が済んだのかまたベッドに戻ってて。
拾ったクッション放ってやったら、腕の中にさっそく抱え込んでる。


「……もーヤだ。わっけワカンナィ」
「…そ、だねー」


ふてくされたみたく繰り返される言葉。

…とどのつまりは、ソコらしい。



 >>>サガワPL   -- 06/02/05-23:51..No.[151]  
    突発的身内ネタ。
特に深い意味はないのです。


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