写真と彼。




パシャ。
パシャ。

何度かシャッターの切る音。そして、カメラから離れた顔にはりついているのは、無表情という表情。


「……いいの撮れた。ありがとう」


真面目に被写体(勝手にした)の猫たちに礼を言っているのは、朝倉凌。某高校の写真部。まぁ写真部になる以前から、写真は好きで撮っていたが。

表情と言葉が一致しない、見事な無表情。金髪と青のカラコンが、余計その表情を冷たく見せている。


「……そういえば、展示会のテーマ。どうなるんだろう」


文化祭でやろうといっている展示会。歩き出しながら、凌はふと思う。自分のテーマはもちろん、大好きで大好きで大好きで(何度言っても足りないくらい)大好きな猫がテーマになるだろう。猫の何をテーマにするかは、わからない。猫そのものか、それとも猫のなにかのしぐさがテーマか。癒しとかでもいいかもしれない、とか日常とか、いろいろと頭をよぎるテーマはある。


「……しぼりきれない。困ったな。斎に相談してみようか…」


写真は見るの専門、と豪語している兄を思い出す。大学を卒業してから本格的にレストランで働き始めた兄は、ホール専門。いわゆるギャルソン的なことを実地で勉強中だ。そんな兄の帰宅時間は遅い。高校生の自分とは、生活習慣がずれまくっている。


「……無理。じゃぁ鏡センパイと千草センパイ……?でも……」


二人とも言ったら喜んでみてくれるだろう。だけども、自分のテーマのことで相談、なんてなんとなく悔しい。
何気に負けず嫌いな自分の性格を恨めしく思う凌の顔は、やはり無表情。カメラを片手にテクテク歩く日曜の昼下がり、ふと目に留まったものをカメラにおさめていく。

そして、不意に凌の表情が薄い笑みを浮かべた。


「…………やっぱり、猫」


無表情を崩す、数少ない要因である猫を写真に収める。これで、現在(いま)の猫は凌のカメラに収まった。二度とない「現在」を切り取り、過去の思い出を補完できるもの。写真。凌と写真は、切っても切り離せないものなのだ。






 >>>朝倉pl   -- 10/06/27-21:52..No.[203]  
    すみません、展示会でちょっとテンションハイになっただけなんです。本当に駄文でしかも無駄に長くて鏡センパイとか千草センパイ無断で名前だし手本当にごめんなさい;


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