背中を押されて手を引かれ

屋上から眺める景色はいつもと変わらない。
変わったとしたら僕の心の場所だろう。
ひざの上の本を手持ち無沙汰にぺらぺら捲る。
視線は落ち着き無く自然と校庭へ、教室の窓へ。

そこに映る姿に羨望の眼差しを向けている僕はなんなのだ。
クラスにも馴染めず(クラスメイトの顔は覚えた。名前も覚えてる。相手がどうかは解らないけれど)
浮いている僕は一人、屋上で昼食を摂りながら本を読んでいる。

三年の二学期がスタートした。
最後の夏が終わって最後の秋が始まる。
だと云うのに気軽に名前を呼び合える友達がいない。

別に構わないじゃないか。

それはそうだがやっぱり寂しい。

友達は欲しい。

下の学年に名前を知ってる子が居る。
一度か二度、話をした事がある子。
この間久しぶりに気まぐれでメールを送ってみた。
別に大した用も無く、試した訳でも無く本当気まぐれに。
相手の時間も迷惑も なにもお構いなしに遅い時間。
送信して5分も経たないうちに明るい彼らしい内容のメールが返ってきた。

「ちょうれし!先輩全然いないじゃないすか!」

うん、確かにその通りだね、
僕は全然学校に来てなかった…まぁ夏休みだったし。
呆けているのは僕だけかと思ってたけど、
彼らしい言葉のチョイスに一人夜の屋上で涙を流しそうなった、
ってのは嘘だけど、心で泣いたのは本当。

二年の途中に転校して来たから
それらしい行事にも参加した記憶も無いし、何かをした思い出もない。
今からでも作れるじゃないか、とある人は云うけれど、
自分から行動を起こした事の無い人間、起こす勇気の無い人間はどうすればいいのだ。
だがしかし、どうして真直ぐな彼は続ける。

「うれしいです。まじ自分と遊んでください」

勇気の無い人間を動かす言葉の原動力を知る事が出来た僕は幸せ者なのかもしれない。
それに気付かず回りに幸せを運ぶ彼。
なんて、大げさな高校三年生。
馬鹿で結構。
大いに結構。

もう直ぐ青鷹祭が始まる。
最後の思い出作りが始まる。

僕の小さな一歩も踏み出される。

残りを精一杯楽しもう。
悔いの残らない高校生活を終える為に。



 >>>MRKWL   -- 10/09/02-23:26..No.[213]  
    読む人が読んだら丸解り。
勝手に流用しちゃ居ました…許してNくん←

卒業まで気合入れて遊ぶぞーーーーーーーー!


[一覧へ戻る]

Pass
あっぷっぷ Ver0.57 Created by Tacky's Room