ある日の山上家。 「あー母ちゃん。父ちゃん。俺バレー部入ったんで」 「あらそう」 「なんだ、弓道やめんのか?」 「んー……どうしようか悩み中。両立できりゃいいんだけどさー。なんかバレーが予想以上に楽しくて」 「そう、楽しいのが一番よ」 「そうだな。好きなことを好きなだけできるのは、学生の特権だ」 うむうむ、とうなずく山上父と母。山上家の家訓は「何事も楽しむ」だ。その言葉が実体化してきたような両親をみてきた聡史にとっては、楽しむ=とことんやる、ということになっていた。 「そんでさー。なんか夏にインハイがあって出場決定してたらしくてー。だから29日に合宿あって、そのあと30日から沖縄いくからー」 「そう。お弁当はいらないわね」 「沖縄かー。いいぞ。沖縄は」 「なに父ちゃん、行った事あんの?」 「ああ、出張でな。紺碧という言葉はここのためにあるのか、といいたくなるような景色でなぁ。海の中もすごいが外もすごいんだぞ」 「うらやましいわねぇ。あたしも一度でいいから行ってみたいわー」 「あー……んで、お土産てきとーでいい?」 「おう、サーターアンダギーよろしく」 「あたしはシーサーの何かがいいわ」 「……らじゃー」 なんか、バレー部に入ったのかとか合宿とか沖縄とかむしろ出張なのに海の中とか、いろいろとツッコミ所はあるはずなのにスルーしてる両親をみてると、聡史がなんとなく脱力してくる。 「とりあえず、シーサーのなんかとサーターアンダギーねー。適当に選んでくるー」 「「よろしく」」 見事にハモった両親に、聡史は改めて感じた。 この人たちには、勝てない。っつーか勝とうと思うこと自体、間違っている。 さて、溺愛している弟の雅史には何を買っていこうか。そっちを考えたほうが建設的だろう。 |
>>>灯霧 -- 10/07/21-12:42..No.[208] | |||
……合宿とインハイでイヤッハーッになってるだけなんです。すみません。 山上家のとある風景を書いてみました。うわさの弟君は、出てきません。両親に報告ーな一場面です。そんな感じでした。 はい、すみません。いろいろと。特にこんなノリの両親でごめんなさい! |
|||