『もしもし』 「あー、凌?」 『……何、こんな朝早く。俺、もう学校いく途中なんだけど』 「や、その、鋼樹と学校で会う前に、言っておこうかなーってな」 ある日の朝、斎は凌の携帯に電話をした。電話の向こうで、凌がぶすくれた声を出している。表情も、容易に想像できた。そして、次の言葉にどう反応するかも。 「あのさ、俺と鋼樹、付き合うことになったわ」 『………………正気?』 背中に冷や汗が流れる。この声は、凌が怒っている兆候。あの無表情で、静かに怒ってる。 「正気っつーか本気っつーか」 『斎。本当に本気?っていうか、コウキセンパイに何手ぇ出してるの』 「あー、その、あの、だな」 『呪っていい?』 「やめて、マジやめて、仕事いけなくなる!それに、鋼樹が悲しい顔するから!すっげぇ勢いで悲しい目で見つめるって言ってたから!」 『…………まぁ、鋼樹センパイがいいなら、いいけどさ。よりによって斎?』 「はいそうですスミマセンこんな俺でゴメンナサイ!」 『…………泣かせたら、即呪うから』 ぶちっ。 ツー、ツー。 「ふぃー……なんとか命拾いした……」 額に流れた汗をぬぐい、斎は安堵のため息をついた。とりあえず、泣かせる予定は無いので凌に呪われる予定もない。 「って感じだったな」 「うわ……。朝倉、それ本気ですね」 「おう、マジギレしてた」 八剣鋼樹の部屋で回想を終えた斎は、その時のことを思い出してぶるっと震える。 「いや、マジほんっとに、鋼樹に感謝だわ。お前の名前出した途端、凌の怒りオーラしぼんでったし」 「俺どんだけ慕われてるんですか」 「すんげー慕われてる」 きっぱりと言い切る斎に、八剣は苦笑を浮かべた。 「まぁ、また樹海に捨てるとか東京湾に沈めるとか、言い出さなくてほっとしました」 「とりあえず、鋼樹を泣かせる事がなけりゃ、大丈夫だろ」 「じゃぁ、斎さんに泣かされたら朝倉に泣きつかなきゃ」 「や、まじやめて、ほんっとやめて、つか、泣かせるつもりねぇから!」 「あったら困りますって」 くすくすと笑う八剣、その前で土下座してる斎。 なんとも、平和な光景。 |
>>>朝倉ぽれ -- 11/02/18-23:40..No.[223] | |||
おバカな斎です…。 | |||