それは青鷹祭の最終日。祭りの後のお話。 「しーのーぐー」 「……」 今にも寝そうになっていた朝倉凌の部屋を訪れた兄、斎。のっそりとベッドから上体を起こし、凌は兄の顔をじっと見る。 「……何。もう、寝るところなんだけど」 「いいもんがあってさ。お前、写真好きだよな?」 「……何をいまさら……」 兄の意図が読めず、凌はすっ、と目を細める。斎の顔は、たとえるならば「にやにや」とか「にまにま」という表現がしっくりくるような、そんな表情。 「…………おやすみ」 そういうときの斎の話はきかないに限る。そう今回も判断した凌は、ばっふりと布団を頭からかぶった。そんな弟に、兄は無断で部屋に入り近づく。 「すんげぇいい写真があるんだけどー」 「……」 「多分、見ねぇとすっげぇ後悔する、そりゃもうベストショットなんだけどな?」 「……」 「……ま、意地でも見ねぇっつならかまわねぇけどさ。いいのかなー、兄ちゃんの職場にばらまいちまっても」 廊下から差し込む光の中、ひらひらと一枚の写真をひらつかせている斎の最後の言葉に、凌はん?と布団の中で首をかしげた。 自分が見られて困るようなものじゃなければ、こんな言い回しはしないだろう。そして、やるといったらやる男だ。斎は。 仕方なしに顔だけ布団から出した凌は、次の瞬間硬直した。 「なぁ?ベストショットだろ?」 「なっ…………!!」 「我ながら、よく撮れたと思うぜ。いやー文明の利器っていいな。デジカメ万歳」 「いっ、い、斎……!どこでそれっ!」 普段はめったに動揺しない凌が、とんでもなく動揺していた。表情も揺れているのが丸判りだ。ぱちぱちと瞬きしてベッドから飛び起きた弟をみて、斎はとんでもなく満足そう。その手には、キュアブロッサムのコスプレをした凌のドアップ写真が鎮座ましましていた。 「どこでもなにも、我らが母校に決まってるだろ?」 「き、き、きて」 「行ったぜ?ま、おまえにゃ内緒だったし、隠れてたからわからなかっただろうけどよ?」 「な、な……!」 あれほど来るな、と釘を刺したのに。驚きが去った後、ふつふつと沸いてきたのは、怒り。それに気づいてないのか、斎は誇らしげに写真を見ている。 「いやぁ、チャイナじゃねーのがちょっと残念だけど、可愛いよなー。ばっちり笑顔も撮ったぜ。ほれ、こっち」 「………斎……」 「やっぱ俺の弟だな!似合うし可愛いじゃん!」 「………死 ね !」 その後数日、斎は原因不明の腹痛と頭痛に悩まされたと言う。 チーン。 |
>>>朝倉ぽれ -- 10/10/11-22:36..No.[219] | |||
学祭にきてたにーちゃんと凌の会話です。これが本当はリアルでやりたかった……!!(くぅっ) | |||