○○日記

愛らしい人だ。
普段はとてもクールなのに、ちょっとうっかりで。
仕事はよくできるに違いないだろう。なんていってもあの校長をフォローする人なのだから。
いや、だが可愛らしい人だ。
その人のことを、綴っていきたいと思う。


■4月15日
 校長室付近を歩く。だが、彼の姿はない。
 教頭は普段どこで仕事をしているのだろうか。謎だ。

■4月16日
 今日は姉の誕生日。30過ぎの女が何をプレゼントをねだるというのだろう。
 教頭先生にねだられるのであれば、考えなくもないのだが。

■4月20日
 学食で生徒たちが騒いでいた。何があったのだろう?
 自販機からビールが出るというが、真相は? 教頭先生に聞きたかったのだが、今日も姿を見かけない。

■4月22日
 木曜日というのは、案外ダルい曜日である。明日勤めれば休みなのだが……。
 休みと言えば、教頭先生は何をして過ごしているのだろう。あの人は案外おっちょこちょいだと聞く。
 家でどんなドジをしているかと思うと、頬が緩む。

■4月30日
 世間ではゴールデンウィーク。だが、学校は当然カレンダー通りだ。
 ガキどもの一部は自主休校。まったく、この学校には金持ち生徒が多い。海外に出かけている奴もいるのだろう。
 羨ましいことだ。
 しかし、休日が多いと学校であの人を見かけるチャンスも少なくなる。休み自体は歓迎だが、これは寂しい。

■5月6日
 4月を振り返ってみると、教頭先生の姿を1度も見かけていないことに気づく。
 仕事をしているのか?
 いやその前に生きているのか?
 ……あまり深く考えまい。たまに出てきてドジをする。それこそ教頭先生の魅力なのだから。

■5月15日
 休日出勤。
 教頭先生の筆跡を発見する。まるで宝捜しのようだ。

■5月20日
 教頭先生の姿を探して、1ヵ月半。
 つーちょんドリンクとの出会いより、彼との遭遇のほうが難しい。
 会えないからこそ、興味も深くなるというものだ。
 待っていなさい、愛し…………



「なんじゃこりゃぁ!」
 人外魔境な図書館の一角。図書館マッピングを趣味とする山田一郎(仮名)が、書架にささっていた日記帳を手に取ったのは、ほんの偶然の産物だ。
 山田は慌ててそれを書架に戻すと、周囲を見渡す。
 ここは異様に広いこの図書室の、それなりに奥まった場所だ。周りには誰も居ない。
 見てはいけないものを見た。その背筋凍る体験だけで、今日のところは十分だ。
 有海には触れてはならないものがある。
 自分が可愛ければ、うん。今日のことは忘れよう。
 山田はそそくさと、図書館を後にするのだった。



 >>>山田一郎(仮名)   -- 04/05/25-19:16..No.[11]  
    この物語はフィクションであり、実在する有海生・教師とは関係はありません。



……多分。


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