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 「…」
 なんだかんだで三巡目の曲はもはやBGMで、手持ち無沙汰になったらしいザル先輩と阿部ちゃんはメニューを開きだした。


 「このビール生って有りますけど、薄いスね」
 「銘柄書いてないし発泡酒じゃないのー。」
 「えぇっ!…」
 「あー、ビール追加とおしんこ」
 「俺もー、ビールとお…ビールとお…ビールとお、ビール!!ってビールばっかじゃん」

 ザル先輩が入り口の電話に近い自分に目を向けた。
 その目の前の機械で注文出来るのを知りながら丸投げキタコレ
 それより安部ちゃん飲み放題でこの値段、気づかないのか。阿部ちゃん。


 「じゃあ俺ーこれにするっす」
 「おっまえそれ蛙のあれだぞォ、あれ、…あれ」

 この席でタピオカミルクティー飲むのか、阿部ちゃん。これがゆとり乙か。


 「……俺、カレー。」
 「なにまたカレーかよォ。イエローかよォ。飲み物かよォ。」

 早くも〆に入る中山(仮名)さん。そして、(自称)の小学生のような突込み連発が、大トラへのシフトチェンジを予感させて室内の温度が下がった。早く出たい。いつもなら即延長の一時間が今日はやけに長く感じられた。
 下戸のメガネは船を漕いでいた。だから俺たちは下っ端だと(ry


 ぐだぐだのまま、マイクスタンドが三つと決まっているらしいので位置決めだけして、せめて曲の最後に振り付け入れたい、と愚図る(自称)を今から無理無理と宥め続けていると追加分が届いた。ドリンクと同時に来るカレーって。と思ったが、中山(仮名)さんはザル先輩と(自称)にナンを取られながらも、先ほどとは打って変わって機嫌良さそうにカレーを食べていた。カレー切れ?やっぱイエロー?

 起きたメガネは勝手に曲を入れ、踊りだした。某アキバ系アイドルの歌が奴の十八番だった。振り付けも完璧で、家に帰ると深夜一人で撮り貯めた番組をチェックしているらしい。
 長身の男が椅子の上でキュートに踊り歌う光景はシュールだ。阿部ちゃんは初めて見たらしいメガネの狂態に、おずおず手拍子を打っていた。相手にするなよ!(自称)まで合の手を入れ始めた。


 中だるみの空気の中、早く時が過ぎるのを待つばかりであった。






 >>>長いです   -- 11/11/06-16:03..No.[233]  
   


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