きみ


別に好きなワケじゃなかった。
気付いたら一緒に居て、気付いたら付き合ってた。
誰かに取られる事が怖かったのだろうか。
自分で自分の気持ちが分からなくて、それでもバカみたいに毎日メールを打ってた。
くだらない内容。
一行だけの時もあった。

「…うぜぇ」
送ったのは自分なのに、律儀に返してくる相手にむかついて携帯を放り投げる。
マンションにしては割と広めな部屋。
向こう側の壁に鈍い音でぶつかって、落ちた。
いつか勝手に付けられた鈴のストラップが、気持ちとは正反対に良い音でなく。

好きと言われたことは沢山あったし、それなりの事もなかったとは、言えない。
だけど、いつまでも人間を信用することは出来なかった。
奴も同じだ。

これから生きていく理由に俺を使っていることくらい、わかっていた。
ガキじゃねぇんだ。とっくに気付いてた。
ずっとそう思っていた。
重いんだよ。そーいうの。


「かえで、いたいの?」
触れられた手。覗き込む顔。
「…人の部屋勝手に入んなよ」
「………ん…でも」
振り返った陸斗の後ろに、見知った顔。
視界が滲み、歪んで見えたけど、確かに。

そこには




 >>>はぎ   -- 04/08/24-13:47..No.[28]  
    …書いてみたかっただけ…とも言う。。
楓の過去…?


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