弟。

パソコンに向かう俺の横で、弟が粘土をこねくり回している。
ぁあ、ただしただの粘土ではない。クレイシルバーってやつだ。
弟ももう17だし、粘土工作って年じゃないのだが、
どーしても自作の指輪を「ある人」にプレゼントしたいそうだ。

兄弟の中で一番工作系が得意な俺に、
兄弟の中で一番工作系が苦手な弟が泣きついてきたのはもう3ヶ月前になるか。
料理は兄弟の中で一番得意なのに、どういう訳か工作は苦手な弟。
今も、なかなか上手くいかず、唸りながら粘土と格闘している。

階下から「夕飯だぞー」とハルの声が響く。

「珍しく3兄弟がそろっているな」
「揃わなくてもいいのに……」

粘土と格闘しながらもぶつぶつとグチをこぼしている。

「……そんなやり方じゃ、そら上手くいかねぇよ」

パソコンで作成していた文章に一区切りつけて。
横から手を出して、指輪をちょいちょいといじる。
彼が考えたモノとほぼ同じ形になった。

「なんで兄貴が手出すんだよ〜」

俺の手から指輪をひったくる弟。

「お前の鈍臭さじゃいつまで経っても完成しないだろう?」

悔しがる弟を背に一人 部屋を出る。

頑張れ、弟よ。



 >>>みやにょpl   -- 04/12/27-13:56..No.[50]  
    和樹さんから見た宮野家の日常風景その1というか。。。
ちなみに指輪は、クリスマスまでに間に合わず新年明けてからプレゼントということになったらしいですょ(何)。


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