ハラハラ・・・ハラハラ・・・。 雪が舞い落ちる。 その日は息を吐き出すと白くなった。闇が濃くなって来ている時間だった。 「さみぃ・・・・」 小さく呟いた。擦り切れた防弾の黒いロングコート。 黒の革靴。タッパのでかい体。少々怖い印象を受ける顔。 蒼井組の下っ端。 白木黒龍。 年はまだ24と若いが腕はたつ男だ。 20の時現組長の恩を受けそれから必死に駆け上がってきた。 組の中では腕のたつ一人だが威張ることも無く普通の男として生きている。 「あれ・・・」 黒龍は少し目を細めた。 少し向こうに見慣れた人物を発見したのだ。 「お嬢さん・・・」 蒼井來香(ライカ)。 蒼井組組長の一人娘で組員からの憧れの的だ。 体が少々弱く、儚げな彼女に黒龍も微かながら恋愛感情を抱いていた。 「何であんなところに。こんな寒い日に外にいたら風邪をひかれるじゃないか・・・」 たく・・・と小さく言ってからコートを脱ぎ、腕に持つと來香に駆け寄ろうと走り出した。 「お嬢さん!」 こちらを見る來香。 パキュン・・・。 静かな銃声が聞こえた。車のエンジン音に紛れ聞こえにくかったが確かに銃声だった。 「っ!」 腹部に強烈な痛みを感じた。何だ・・・何だこれは!黒龍は頭の中でそう感じた。続いて二発目。三発目。 下っ端の自分を狙うやつはいないはずだ・・・。黒龍はそう考えた。來香とは丁度直線上にいる。敵は來香を狙っている。 足を先に進め、來香のそばへ行く。すばやくコートを來香にかけると抱きあげ走り出す。 四発目の銃声が聞こえた。ほぼ同時に肩に痛みが走った。 「お嬢さん。ここにいてください」 パブに來香を入れると黒龍は銃を向けていた人物を見据えた。 「お嬢さんを狙うったー良い度胸じゃねぇか!俺が相手してやる!」 「ほっほぉ?そんなに怪我を負っていきがるか!」 男が銃を構える。スーツの内側に手を突っ込むとすばやく何かを投げる。男が引き金を引くより早く、投げられたものが銃を弾き飛ばした。 「な!」 「下っ端だからってなめんな!」 同じものを投げる。物は男の手に当たった。鮮血が迸る。それと同時に走り出し、走りながら物を投げる。 「ナ・・ナイフ投げ!?」 自分の手に当たったナイフを見て一瞬動きが止まる。 黒龍は男の背後に回り、取り押さえると首にナイフを突きつけた。 遠くからパトカーのサイレンが聞こえる・・・。 「お前もこれで御用だな。・・・・つ!・・・」 一瞬目の前がくらんだ。出血しすぎたか・・・・と思いつつ。ドゥと地面に倒れこんだ。遠くから來香の声が聞こえる・・・。 「・・・・っ・・・」 次、目を開けた時は病院のベッドの上だった。 「目、さめたか?」 「組長・・・・」 組長の隣には來香が座っている。組長は苦笑いをしてから黒龍の手をとった。 「わりぃな・・娘を守ってもらって・・・」 「いえ・・・お嬢さんは大切な人ですからね・・・」 苦笑いを浮かべる黒龍。組長が少々言葉に詰まるように視線を泳がせた。 「あ〜・・ものは相談なんだが。お前は俺の後を継ぐ気は無いか?つまりだな・・・來香の夫になるってことなんだが」 黒龍はあわてて起き上がる。ズキ・・と鈍い痛みが走り眉を寄せたがすぐに組長を見た。 「それって・・・お嬢さんと結婚しろ・・ってことですか?けど・・お嬢さんの気持ちは・・・」 「來香も良いと言っているんだ・・・どうだ?」 頭の中で考える。自分のような人間が、來香の旦那になっていいものなのだろうか・・・・・・。だが・・心に決めた。 「よろしくお願いします」 静かに頭を下げる。組長は大笑いをしてから。 「そうか!よし!祝言はお前の傷がなおってからでいいな」 黒龍は静かにうなづく。 來香は静かに微笑んで、黒龍の手をとった・・・。 「幸せになりましょう・・・?」 彼女の声を聞きつつ・・黒龍は静かに眠った・・・。 FIN |
>>>カニーズ -- 05/01/22-21:59..No.[70] | |||
何ですかー!イヤンもう。 カニーズのママの名前がー!來香になりました! ずっと決めてなかったんですが、今日のマミィの話が出たので・・・・・。 決めてみました! うわぁんへたれだよう・・・。 |
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