2年生のクラス替えで、俺は幸か不幸か、この学校の双子の一組、蒼井兄弟の片割れと同じクラスになった。 少し早めに学校に来て、早く掲示板見て何処のクラスが見たかった。俺のクラスは何処だろう・・・と探していた時、見つけた名前。 「蒼井・・・・・・ケジ?」 ぶっちゃけ、その時は「ふざけた名前だ」と思ってたし、ケジって何だよって思ってた。 噂も結構ある。何か、黒塗りのベンツで来たとか、兄貴が校門凹ませたとか、色々。 「最悪・・・・」 平和に暮らしたかったんだけどっと俺はぼやいた。まぁ・・良いかと思い教室に向かう。 「此処か〜」 前の扉を開くと、前のほうの席に椅子に腰下ろして、肩肘ついてボォとしてる銀髪の男(勿論染色だろうけど)がいた。 席を見ると・・・俺の席はそいつの隣で、それが有名な蒼井兄弟の片割れだった。 「・・・(俺の2年生生活終わりだな)」 溜息を飲み込んで席に向かう。蒼井兄弟の片割れはフイと俺に視線向けて小さく頭を下げた。 嫌な奴じゃなさそうだ。 「えっと・・蒼井だっけ?」 「名前・・そっちで呼べ。兄貴とかぶるから」 名前・・ってケジか?ケジで呼べってか?流石に其処まで度胸ねぇよ・・・けど確かにかぶるよな・・・。 「それじゃぁ・・ケジ」 「・・は?」 え?違うのか?そう読むんじゃ・・・。ほかに如何読むんだ?ナスジとか? 「えっと・・・」 「俺の名前・・読めないのか?」 や・・やべぇ殺される!こえぇよ!マジで見てるし!!! あぁ・・これから一年、目つけられるんだろうなぁ・・。こえぇなぁ〜・・・。 「う・・・ゴメ「茄児ー!ノートが逆ですよ!」」 え・・・か・・カニ?カニって・・蟹? 「兄貴・・・。あぁ・・てか鞄が逆だな・・」 「マジですか?・・食事の時に間違えたんですね」 「うわ・・・噂のカニーズ・・・」 そっくりだな・・。確か親も間違えるとか・・・。でけぇし。運動部掛け持ちしてるって言われてるし・・。 「なぁ・・カニって・・甲羅のある・・蟹?」 「・・茄子の一文字目に児童の一文字目で茄児。見ただろ・・字」 「甲羅のある蟹の方は俺の字ですから・・。カイって言います」 思ってたより良い奴みたい・・・。なんか・・楽しくなりそうだな・・・。 ********************* 「あれ?茄児は?」 5月に入って慣れてきた頃、アイツと俺は結構仲良くなってた。 まぁ・・アイツは俺の事「お前」としかよばねぇけど・・案外良い奴だった。 「アイツなら体育館でバスケの練習じゃねぇの?」 図書館で本読んでた友人に聞いたらそういわれた。本屋でお勧めの本選んでもらおうとか思ってるし・・俺は其処へ行った。バスケのドリブルの音とか、キュとか言う良い音。 邪魔になるとだけだから・・・・一寸覗くだけ・・・。 「うわ・・・」 190cm代の巨体が飛ぶ。ゴールへ叩き込まれるボール。 凄い・・と思った。俺はバスケに詳しくないけど・・有名なアメリカのバスケ団体とかの試合で見たのとおんなじ。ダンクって奴。 迫力がある・・。しかも190代の奴が並んでるといえば・・爽快なものがある。 「・・・・あれ?。お前・・・」 「よ・・よぉ。すげぇな」 「練習・・してるからな。で?何だ?」 っと忘れるトコだった。 「お勧めの本とかねぇ?一緒に選んでくれよ」 「良いぞ?一寸待て、着替えてくる」 茄児の奴が走ってく。同じ顔だからなぁ・・・。兄貴の蟹もいるから・・結構クラクラする。 「茄児とお友達になってくださって・・ありがとうございます」 「い・・いや〜」 「茄児は・・・不器用な子なんです。気長に付き合ってあげてくださいね?」 蟹は結構大人しいヤツだし、茄児も似てるような感じだけど力はこいつのほうが上・・。 「兄貴・・まだ練習してくか?」 「えぇ。あと少ししたら、帰りますけどね。余り遅くならないよう」 仲が良い・・・。俺は兄弟いないから・・・羨ましい。 俺の身長は170代。20cm近く違うからな・・。コイツと。だけど良いやつだから・・苦手じゃない。 「なぁ・・茄児。これからも・・」 「宜しくな・・・ってか?」 「あぁ・・。まぁ・・宜しくな」 これからも宜しく・・茄児。 |
>>>匿名 -- 05/05/05-21:42..No.[114] | |||