樹海

遠い声に呼吸すら忘れて、いつから迷い込んだのか
いつまでも果てしないこの樹海に

手を繋いでいた君は、今はどこにもいない
どこではぐれたのかさえも思い出せないほど

擦りむけた肌はいつしか熱を宿し
君のいない隙間を
二度と埋められないように押し広げてゆく

空の蒼に恋焦がれて僕らはいつまで歩くのだろう
前に進む程に何かを失ってゆくのに
君の面影を探しながら
繋いだ指の温もりを探しながら君を探して君を忘れて

そして僕だけが取り残される
僕が犯した罪の重さだけ

耳に残る響きは誰の声?辺りに静けさが立ちこめて
途切れることない樹海には君の姿はない
聞こえるのは誰の吐息?
君の長い髪も優しげな指もいまは手に届かない

迷路に迷う焦りより君のいない今が切ない
君の声が姿が指が腕が僕を苦しめる

空の蒼に恋焦がれて僕等はどこまで歩くのだろう
君を失うほど道が開けるというのならば
君の温もりを感じながら
君の心ごと抱き締めて君を愛して君を求めて

そして二人で迷うままに
繋いだ指を離さないでこの樹海に留まったままに

君の姿を追い求めて
空の蒼が掴めないならこのまま
この樹海に迷うままに…………



 >>>十六夜   -- 05/09/07-14:04..No.[135]  
    こんな思いしたくないんですけどねえ


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