赤い花

彼女は若過ぎた。
彼女は美し過ぎた。


僕の記憶の中の彼女は、赤い花の様な人。
鮮やかで、艶やかで、それでいて悲しげな…。
自分が散る時を知っていたかの様に微笑む。

あの人が、彼女を愛していたのか。
彼女が、彼をどれほど愛していたのか。

今更、誰にそれが分かるというのか――

そして、それを認めてしまえば僕は今の僕でいられなくなる。

弱さを隠して、何とか自分で自分を支えている僕。
揺さぶられる感情を押し込んで、穏やかさを装っている僕。

彼女の言葉を手繰り寄せて、生きる糧にして今日までやって来たのに。
あの人の優しさや、温かさを認めたら…僕はどうしたらいい?
小さな子供には、もう戻れやしないのにっ。
戻るわけにはいかないのに…。

でも、もう気づいているんだろう?
あの人の目が悲しみを湛えているという事を。
自分に都合が悪いから…恐いから直視できない。
なんて卑怯なんだろう。

ああ、彼女の顔が浮かぶ。
そうだ。この台詞で蓋をするんだっ。

『彼女の顔を――』




 >>>匿名   -- 05/09/30-23:29..No.[140]  
    時間潰しの駄文。


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